八重山諸島で29日、軽石の漂着が相次いで確認された。石垣市のヤイトハタ養殖場と石垣港には同日、まとまった量の軽石が入り込み、海面の一部が茶色に染まった。竹富町によると竹富南航路と西表島、竹富島、黒島の海岸、港でも軽石が見つかった。いずれも現時点では住民生活に被害を及ぼす量ではない。市、町など関係機関は軽石が今後、大量に漂着する可能性も想定し、警戒を強めている。
ヤイトハタや琉球スギのいけすが設置されている石垣市八島町の養殖場では、同日朝、漁業者らが漂着した軽石を発見した。魚類に対する被害は出ていない。
八重山漁協ヤイトハタ生産部会の与那嶺馨部会長(68)は「軽石が石垣まで来るとは思わなかった。強い東風が吹いた影響もあるのでは」と指摘。「大きな魚は大丈夫だが、稚魚は浮いているものを食べるので、エサと間違えて軽石を食べる可能性がある」と危ぐした。
同部会は市水産課と協議し、軽石の侵入を防止するため、いけすの周辺にネットを張った。今後、同課と漁協が軽石の回収方法などを調整する。
この日は石垣港や多田浜海岸でも軽石漂着が報告された。
中山義隆市長は同日、軽石の漂着現場を視察。「養殖場や石垣港にもだいぶ軽石が入っている。住民生活への被害を最小限にとどめたい」と話した。今後の漂着状況によって石垣港へのオルフェンス設置などを検討する。
竹富町によると、町民から竹富港、黒島港、西表島の中野海岸で軽石が漂着したとの情報が寄せられている。石垣島と竹富町の島々を結ぶ旅客船が行き交う竹富南航路でも軽石が漂流している。現時点では、旅客船のエンジントラブルや欠航を懸念しなくてはならないほどの量ではないという。
町政策推進課は「関係機関と連携し、町民生活に影響が出ないよう対応する」と強調した。