与那国のトカゲ、実は新種 他の島々と隔離、独自に進化

新種であることが判明し「ヨナグニスベトカゲ」と名付けられた与那国島のトカゲ(関慎太郎撮影)
新種であることが判明し「ヨナグニスベトカゲ」と名付けられた与那国島のトカゲ(関慎太郎撮影)

与那国島に生息し、先島諸島の他の島々に分布するサキシマスベトカゲと同種と考えられていた小型のトカゲが、実際には固有の新種であったことが京都大学理学研究科・教務補佐員の小泉有希氏らの研究で分かった。先島諸島の島々のうち与那国島のみが、長期にわたって他から大きく隔離され続け、動植物が独自の進化を遂げてきたことを示す一つの証拠になると見られる。
研究成果をまとめた論文はこのほど小泉氏、兵庫県立大学自然・環境科学研究所の太田英利教授、京都大学の疋田努名誉教授の連名で国際学術雑誌「Zооtaxa(ズータクサ)」に掲載された。
1983年の与那国島での調査で、当時学生だった太田氏はこのトカゲが、他の島々のサキシマスベトカゲと色合いが異なる印象を受けていた。このほど、小泉氏と疋田氏によるDNA解析、そして形態的特徴の詳細な比較検討から、サキシマスベトカゲとは別種であるという結論に達した。
太田氏によると、過去二百万年あまりの間に繰り返された氷河期には現在より海水面が大きく低下。石垣島と現在の竹富町の島々はほぼ陸続きとなり、さらに宮古諸島とも近接する状態になったと考えられる。このため、各島に生息するトカゲは、遺伝的交流を通じて近縁関係を保った。
これに対し、与那国島と他の先島諸島の間には水深200㍍以上の大海原が存在することから、与那国島のトカゲはその間も他の島のトカゲから一貫して隔離され続け、独自の種となったと考えられる。
小泉氏らは今回の新種を学名「スキンケラ ドゥナン」と命名し、和名には「ヨナグニスベトカゲ」を提唱した。
取材に対し太田氏は「与那国島は長い間、他の島々と隔離され続けた結果、独自性の高い自然を発達させるに至った。他の先島諸島の種と同じだと思われていた昆虫などの小動物についても、今後研究が必要だと思う」と指摘。改めて島の自然を守る大切さを訴えた。

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