OKINAWA考古学(3)

 前回に続き、宮古島北方の巨大サンゴ礁群の八重干瀬での調査から。海底には船の残骸や、中国産陶磁器の他にガラス製のワイン瓶(写真1)も見つかっている。

写真1


中央の大きな丸いくぼみから瓶だと判別された。ガラスの中には大小様々な気泡が見られたという。
 宮古島では、東部の吉野海岸に近世の陶磁器が散布している。また、海岸や海底には多量の方柱状や板状の石材、銅板などが見つかっていることから、昔の船乗りにとって海の難所だったのかもしれない。
 実際、1853年に英国の船が宮古新城村の海岸に漂着・座礁したとの記録があるし、聞き取り調査でも19世紀中頃に座礁した外国船の伝承話があったという。地元ではオランダ船だとされていたそうである。
 八重干瀬では、船体を補強する部品の取り付けに使われたとみられる銅製の角釘(写真2)が見つかっている。

写真2


中でも、沖縄県立埋蔵文化財センターの調査員を注目させたのは、回収した船の部品のシンボルマークが、宮古島の北西に位置する池間島の離島振興総合センターに収蔵されている鉄製品の刻印と同じだったこと。関連性を窺わせるとしている。
 この離島振興総合センター以外にも、船舶に関連した遺物が展示されている施設がある。ダイビングが苦手な人は、そうした遺物を見学するという手がある。なお、中には無造作に置かれていたり、気がつけば盗まれてしまった遺物もあるという。
 ともあれ、陸に漂着した遺物から、近くの海底に沈没船などの遺跡があるかどうかを判断していく作業を、埋蔵文化財センターのスタッフはきょうも地道に続けているのだ(写真提供=沖縄県立埋蔵文化財センター。同センター調査報告書第52集「沿岸地域遺跡分布調査概報Ⅱ ~宮古・八重山諸島編~」の記事を再編集いたしました)。

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