23日の県戦没者追悼式では、岸田文雄首相のあいさつに対し、会場の周辺から「心にもないことを言うな」「沖縄の声を聞け」「帰れ」などとやじが飛んだ。
追悼式に新型コロナウイルス禍前まで毎年出席していた当時の安倍晋三首相に対しても、毎年のように会場の周辺から怒号ややじが聞こえた。首相として3年ぶりに出席した岸田氏も「標的」となった格好だ。
大声を上げたのは米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に抗議する基地反対派と見られるが、追悼式は戦没者の御霊(みたま)を慰める厳粛な場。会場に集まった人たちのマナー低下は沖縄の恥ずべき光景と言えそうだ。
玉城デニー知事も「平和宣言」で辺野古移設問題に言及。「辺野古新基地建設の断念等、沖縄の基地問題の早期の解決を図ることを強く求める」と述べた。
「平和宣言」で知事は毎年、沖縄の過重な基地負担を指摘する。だが、この中で辺野古移設反対を持ち出すのは「追悼式を政治的アピールの場として利用している」と受け取られかねず、翁長雄志前知事の時代から疑問の声がある。
岸田首相はあいさつで、日本が戦後一貫して平和国家の歩みを進めてきたことを指摘。「世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現するため、不断の努力を重ねる」と誓った。