国史跡に白保竿根田原遺跡 2万7千年前の人骨出土

㊧国指定の史跡に指定される白保竿根田原遺跡㊨白保竿根田原遺跡から出土した約2万7千年前とされる人骨(以上、県教育庁提供)

 国の文化審議会(佐藤信会長)が15日開かれ、約2万7千年前と推定される人骨が出土した「白保竿根田原(さおねたばる)洞穴遺跡」(石垣市)の史跡指定を萩生田光一文部科学相に答申した。旧石器時代に相当する更新世の人骨が国内で初めて出土した最古の墓葬・墓域で「人間の歴史を長期にわたってたどることができる遺跡として貴重」と評価された。国の史跡指定は県内では42番目、石垣市では4件目となる。

 同遺跡は石垣島の東側に位置する新石垣空港内にあり、空港建設に伴う調査で確認された。県教委の発掘調査では、石灰岩の陥没洞口付近で保存状態の良好な多数の化石人骨が出土。人骨の年代は約2万7千年前から約400年前までに分布し、長期にわたって使用された墓域と見られている。
 更新世の人骨は、あおむけで手足を折り曲げた仰臥(ぎょうが)屈葬姿勢であることが判明。より上層にある約1万年前以降の完新世初頭から、縄文時代後期に相当する下田原期の墓葬と合わせて、石灰岩洞穴や岩陰を利用した葬送習俗の長い歴史をたどることが可能になった。人骨の遺伝学的調査も進んでいる。
 下田原期の堆積層からは、当時の墓葬に加え、遺構などの生活痕跡も見つかった。
 遺跡の面積は約3298平方㍍で、所有者は県。県教育庁の平敷昭人教育長は「白保竿根田原遺跡はわが国の歴史の正しい理解のために欠くことができず、遺跡の規模、遺構、出土遺跡物等において学術上価値がある。関係機関と協力し、適切な保護と活用に努めたい」とコメントした。
 文化審議会は同遺跡も含め、特別史跡の新指定1件、史跡名勝天然記念物の新指定19件、追加指定等29件、登録記念物の新登録5件を文科相に答申した。史跡名勝天然記念物は3299件、登録記念物は117件となった。

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