県立八重山病院(篠崎裕子院長)は石垣市真栄里の旧石垣空港跡地に完成した新病院の10月1日開院に向け移転作業に追われている。30日には入院患者の移送を行い、1980(昭和55)年4月から大川で診療業務を続けてきた現病院の38年の歴史に幕を下ろす。 現病院での一般外来診療が最後となった28日は、引っ越し業者が院内の備品や医療器具などの梱包作業に大わらわ。台風24号の接近で風雨が強まる中、大型トラックで次々と新病院へ運び込んだ。
この日の外来診療は病院側が事前に周知しているせいか、患者はいつもより少なめ。医師や看護師が通常通り業務をこなす中、業者が引っ越し作業に慌ただしく動き回っていた。
病院玄関前では、市消防本部の救急車や車いす搬送用の車両が待機、看護師らと2日後に迫った入院患者の移送に向け、テストをしていた。
30日は病院職員のほか、かりゆし病院や八重山地区医師会、石垣島徳洲会病院などの協力を得て約550人と車両約30台で重症の入院患者150~180人の移送を行う。救急業務は29日まで現病院で対応、30日からは新病院で救急業務を行う。
一方、病院職員互助会が運営してきた売店と食堂「オアシス」もこの日で閉店。売店は「38年間ありがとう」と銘打ったセールを展開。50代の女性は「売店と食堂も新病院に移るものと思っていた。きょうで終わりなんて…。淋しいですね」と感慨深げに話した。