八重山の人工透析ピンチ スタッフ足りず受け入れ困難

八重山の人工透析を考える会議が開かれた=10日午後、八重山病院

 八重山の人工透析医療がピンチに陥っている。看護師などの医療スタッフが不足し、新たに人工透析が必要な患者が発生した場合の受け入れが困難になっているためだ。現状だと八重山の透析患者は沖縄本島の病院に通院せざるを得ない事態も予想される。八重山で透析治療を行っている県立八重山病院、石垣島徳洲会病院、よなは医院は10日、八重山病院で県議を交えた会議を開き、対応策を話し合った。

 会議での報告によると、八重山の透析患者は年々増加傾向にあり、3病院の透析患者は現在、180人近くに達している。しかし人工透析に対応できる医療スタッフは増えておらず、出席者らは「マンパワーが足りず、これ以上患者を受け入れられない」と医療現場の逼迫(ひっぱく)を訴える声が出た。
 八重山病院によると、八重山の透析診療は1~2年以内にパンクする可能性が高く、八重山病院は当面、末期腎不全の患者には血液透析ではなく腹膜透析を優先して導入するという。
 民間の2医療機関では人工透析に対応可能な医療スタッフの増員に限界があるため、八重山病院は今春の人事異動で7人の増員を県病院事業局に要請。しかし病院事業局は1人の増員しか認めなかった。
 篠崎裕子院長は「12月に副知事が視察に来た際にも、この状況は伝えてある。病院事業局には憤りを感じている」と県の対応を批判した。
 一方、別の病院側出席者からは「石垣市には医療に無関心なところが多い。病院事業局に『人をよこせ』というだけでは解決せず、地域の医療構想の中で考えるべきことではないか」という意見もあった。
 ビデオ通話アプリ・ズームで参加した大浜一郎県議は「県に旗振り役として動いてもらわないといけない。離島医療政策の問題で、政治決断も必要だろう」と述べ、今後、必要な医療スタッフの人数などを各病院側と協議する考えを示した。
 会議後、報道陣の取材に応じた八重山病院腎臓内科の宮里均部長は「通常ではやらない施策だが、八重山病院から(よなは医院、徳洲会病院に)看護師を送ることも検討するほかないと思う。そうしないと透析医療の継続は困難だ」と話した。肥満や糖尿病対策などの徹底も求めた。
 よなは医院の与那覇朝樹院長は「高齢化が進み、透析診療は地方や離島では受け入れが難しくなりつつあることが表面化している」と指摘した。

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