八重山ライオンズクラブ(LC、前里和江会長)は20日、八重山地域の自然環境を保全するため、石垣市の名蔵湾でヤエヤマヒルギの植樹を行った。干潮時に大規模な干潟になる湾内の一部をマングローブ林に変え、豊かな自然環境を次世代に残すため、40年以上前から続けている。同日は姉妹クラブである愛知県の岡崎南ライオンズクラブ(LC、田中正実会長)から23人が参加。約400本を植樹した。
八重山LCでは種から苗を育て、毎年名蔵湾でヤエヤマヒルギの植樹活動を行っている。苗木の育成期間は2、3年。
コロナ禍が収束した今年は、外部から多くの協力団体があり共に植樹を行う予定。来月も県外から別の団体が来島する予定。
植樹されたヤエヤマヒルギは、沖縄本島以南に分布する日本産の常緑木本。八重山地域に多く、西表島などに自生する。熱帯・亜熱帯地域の淡水と海水が混じり合う汽水域で育つ植物(マングローブ)の中でも、特に塩分に強く、海側で主に生育する。
ただ、名蔵湾は波や風の影響などを受け、植樹したヒルギが育たない場合が多い。前里氏は「残って育つのは1割程度」と残念そう。
岡崎南LCの田中会長は、ヒルギの発育を補助するため、竹の杭を添木にする方法を考案した。「13年試してきたが、活着率が良い。年間600本ほど八重山LCに送っている」と話した。
八重山LCは14日に「マングローブ植林を考える」と題したシンポジウムを市内で開催。名蔵湾にマングローブ林を作る自然保護活動には賛否両論があるため、アンケートも行い結果を公表した。賛成は74・3%、反対は12・9%だった。
岡崎南LCはシンポにも参加。田中氏は植樹に賛成するとし「自然保護のために名蔵湾を良くしたい」と力を込めた。
前里氏も「植樹を継続したい」と強調。「昔の名蔵湾は自然豊かだったが、道路建設などで環境が破壊されたため、生物がいなくなった。ヒルギ植樹が成功し一部にマングローブができて生態系が少し復活した」と自信を見せ、活動を次世代にも繋げたいと意気込んだ。