「主張しないのは認めたこと」 地元、尖閣問題回避に憤り 玉城知事訪中

尖閣諸島周辺海域を航行する中国海警局の艦船(左側)と、警戒に当たる日本の巡視船=2022年10月(仲間均市議提供)

訪中した玉城デニー知事が中国の李強首相と面会した際、中国艦船が尖閣諸島周辺海域で領海侵入を常態化させている問題に言及しなかったことを受け、尖閣を行政区域に抱える石垣市の関係者からは、憤りの声が上がった。
尖閣周辺で漁をしたこともある八重山漁協所属の漁業者、名嘉秀三さん(60)は「尖閣周辺にも沖縄のウミンチュがいて仕事をしている。(尖閣問題について)一言も言わないのはおかしい」と疑問視。「知事は漁民の話を聞きに来ない。離島の問題に興味がないのではないか。第一次産業をばかにしているのではないかとも感じる」と批判した。
中国との友好を重視する知事の姿勢については「それはそれ、これはこれ。主張すべきことは主張すべきだ」と指摘した。
県議会で、中国指導部に尖閣問題を提起するよう知事に求めた石垣市区選出の大浜一郎県議は「国際社会から見ると、何も言わないということは相手の言い分を認めたということ」と懸念。知事が展開する「独自外交」に対しては「外交は互いの摩擦を調整していく重要な作業だ。知事には外交のセンスはない」と断じた。
知事は尖閣問題には言及しなかったが、中国首相に中国との直行便回復を要望した。大浜県議は「需要があり、先方が必要と判断するなら、知事が何も言わなくても飛行機は飛ぶ。(知事が中国に要請したことが)県民に対する『お土産』になったとは言えない」と酷評。今後、県議会で訪中の「成果」を追及していく構えを示した。
石垣市議会で尖閣問題をライフワークに取り組んでいる「尖閣諸島を守る会」代表世話人の仲間均市議は「尖閣が日中間の問題になっているのだから、訪中したのなら解決の糸口を見出すため努力するのが知事の役割ではないか。知事は『尖閣は国の問題』と考えているようだが、中国の言いなりになっているのではと心配している」と声を落とした。
尖閣周辺海域では中国海警局が派遣した艦船が常駐。領海侵入を繰り返し、周辺を航行する日本漁船の操業も妨害している。中国側には、日本漁船の操業を妨害することで、尖閣諸島の領有権を主張する狙いがあると見られる。

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