石垣市は27日、台湾・基隆とのフェリー定期航路開設に向けた検討委員会の初会合を市役所で開いた。国、県、市と民間事業者の担当者17人で組織し、月1回程度のペースで定期航路実現の課題を話し合う。初会合で事務局の市は、年間200日の航海を行った場合、10億円程度の赤字が出る可能性を指摘し、増収に向けた取り組みの必要性を強調した。 市が検討委に提出した定期運航の提案資料によると、定期航路に使用する船舶は台湾法人が所有する「ナッチャンレラ」(定員800人)を想定。日本側で7億円程度の資本を集め、運航主体となる法人を設立し、船舶をチャーターする。運航時間は片道5時間。
年間200日の航海の場合、運航費用は22億円程度になると見られる。売り上げは旅客乗船率50%、貨物積載率30%で計算して12億円程度を見込むため、10億円程度の赤字が予想される。
だが、新会社の負担で船舶と岸壁の間をつなぐ機材のサイドランプを設置。運航の利便性を向上させることで、台湾側とチャーター料の減額を交渉し、赤字を3億円程度に圧縮できないか検討する。
また旅客、貨物の増や船体、航路などのネーミングライツ販売、定期航路以外のチャーター企画販売などに取り組み、売り上げを3億円程度伸ばすことで、収支ゼロか黒字を実現する。
検討委は非公開だが、会合終了後に資料を公表する。初会合では委員長に市の嶋田廉企画部長、副委員長に市観光交流協会の高坂正則事務局長を選任した。次回会合以降、市の提案を叩き台に、定期航路就航に向けた検討作業を本格化させる予定。
嶋田委員長は「今回はキックオフ。今後、いろいろな課題が出てくると思うので、一つひとつ整理したい」と話した。
委員長、副委員長以外の委員は次の通り(敬称略)。▽委員・伊藤嘉宏(内閣府沖縄振興局参事官補佐)、横山憲一郎(国交省海事局外航課専門官)、高嶺力志(県企画部地域・離島課長)、大城清剛(県文化観光スポーツ部観光振興課長)、浅井幸広(丸紅株式会社沖縄支店長)、芳本強(SUNRISE LOGISTICS CO・LTD社長)、黒鶴圭二(オーシャンテック株式会社取締役)、友知靖博(株式会社あんしん取締役)、井瀧史洋(JETRO沖縄所長)、仙野健(沖縄振興開発金融公庫支店長)、前川義統(市商工会事務局長)、大浜龍一(八重山青年会議所LOM開発育成委員長)、下地敏之(市港湾課長)、多宇直之(市商工振興課長)▽事務局・西銘基恭(市観光文化課長)