与那国島で方言サミット始まる 継承へ講演や聞き比べ

最初にオープニングアトラクションとして、国指定重要無形文化財「ダーナラシ(座ならし)」が祖納青年会によって披露された=14日、久部良小学校

 2023年度危機的な状況にある言語・方言サミット与那国島大会(文化庁主催)が14日、同町立久部良小学校で始まった。15日まで。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が消滅の危機にあるとした我が国の方言・8言語について、各地域や団体がブースを設け、維持・継承の取り組みを紹介。有識者の講演やアイヌ語や津軽弁と南部弁、与那国語の表現披露、各話者の聞き比べなどが行われている。

 ユネスコは、アイヌ語や八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語「どぅなんむぬい」の8言語が消滅の危機にあると指定。文化庁は東日本大震災の被災地である東北地方の方言も含め、維持・継承に取り組むため、各言語に対する理解を深める機会として、方言サミットを開催している。今回で8回目。
 14日は、与那国方言辞典の編集委員会専門委員である中澤光平氏=信州大学講師=が言語継承と研究者の役割と題し基調講演。
 続いて、石垣島や与那国島(祖納、比川、久部良)など沖縄各地や奄美、青森、北海道(アイヌ)から計14人の話者が登壇し、各言語であいさつを行い、来場者が聞き比べた。
 中澤氏は2016年から18年まで与那国方言保存継承支援事業に参加。与那国方言をまとめた「どぅなんむぬい辞典」の編集を研究者として監修した。
 「どぅなんむぬい」について、中澤氏は「国内で話される言語・方言の中で、最も母音の数が少ない」と紹介。発音などの事例を解説し、八重山諸島や南琉球の言葉との共通点が見られるとした。
 一方、「若い世代や島外から与那国島に移住した人は基本的に与那国語を話さない」と述べ、現在の話者の人数は「300人程度」と分析した。日常生活などで使われる言語であれば「変化は免れない。継承するならば変化を受け入れるべき」とした。
 聞き比べには、石垣島から東大濵剛さん、与那国島から稲藏まさのさん(祖納)、崎枝彦三さん(比川)、玉城孝さん(久部良)が登壇。沖縄本島や宮古島などと共に、初対面でのあいさつ、知り合いにあった時のあいさつなどを各方言で披露した。
 開催地を代表してあいさつした糸数健一町長は「どぅなんむぬい」の保存継承は課題の1つと指摘。「サミットを契機に、消滅危機にある言語・方言の復興が実現することを願う」と力を込めた。
 オープニングアトラクションとして、与那国の芸能「ダーナラシ(座ならし)」、「ミティ唄」、「ティンバイ(棒踊り)」が披露された。

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