【視点】GDP転落 日本の岐路

 ジャーナリストとして戦前日本の拡張政策を批判し、戦後は政治家として首相も務めた石橋湛山が没後50年の今年、再注目されている。6月には超党派の国会議員でつくる「石橋湛山研究会」が結成され、石橋の軌跡をたどる書籍も次々と発売された。
 戦前、石橋が主張したのは植民地の放棄であり、領土の拡張などで大国を目指す「大国主義」とは逆の「小国主義」とも言うべき思想だった。今年、改めて石橋が見直されている理由はいろいろあろうが、現在の日本が「大国主義」と「小国主義」のはざまで揺れ動く、重要な分岐点に差し掛かっていることも大きいのではないか。
 第2次大戦で焼け野原となった日本は戦後、高度成長を遂げ、世界第2位の経済大国として復活。バブル期には米国にも迫る繁栄ぶりを見せた。しかしバブル崩壊以降は経済の長期低迷に直面し、他国の急激な追い上げもあって、日本の国力は「伸び悩み」から明確な「後退」の局面に入った。
 経済力の大きさを示す指標のGDP(国内総生産)は中国に抜かれて世界3位となり、今年はドイツも下回って4位に転落する見通しだ。今後はインドなどの新興諸国にも逆転されると予想されており、GDPの順位で世界上位を維持するのは難しくなった。遠くない将来「経済大国」の称号を返上する可能性も高まっている。GDPの比較はドルベースだから、円安の影響で生産力が落ちたように見えるだけ、と強がって見せても本質的な解決にはつながらない。
 かつては優秀な科学技術力で世界をリードした日本だが、現在、時代の先端と言われる技術は、多くの分野で米国や中国の後塵を拝している。今後確実に起きる少子化と人口減少の進行は、さらに国の活力を奪う。日本人はこれから「小国」として身の丈に合った幸福を目指すべきか、歯を食いしばって「大国」の座を維持、または奪還する挑戦を続けるべきか、大きな選択を迫られることになる。

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