辺野古「新基地」呼称に異論 自民、普天間代替施設と指摘

代表質問は「新基地」を巡り一時空転したが、6日から正常化した=6日午前、県議会

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を県が「辺野古新基地建設」と呼称していることに対し、自民党が「事業の正式名称ではない」と異論を唱えている。県議会の赤嶺昇議長は過去2回にわたり、県側に移設事業の正式名称である「普天間飛行場代替施設建設」という名称を使うよう求めたが、県側は5日の一般質問でも「新基地」という答弁を続けたため、議会が一時空転した。基地反対派の用語である「新基地」を行政機関である県が使用することの妥当性が問われている。

 政府は辺野古移設事業を「新基地建設」とは呼んでいない。移設先である辺野古沿岸には既に米軍キャンプ・シュワブがあり、普天間飛行場代替施設はキャンプ・シュワブ区域内の海域に建設される計画だからだ。
 移設に伴い同飛行場は閉鎖され、辺野古の埋め立て面積も同飛行場の3分の1程度になるため、移設は県民の基地負担軽減策と位置づけられている。
 これに対し基地反対派は、代替施設には普天間飛行場にはない軍港などの新たな機能が付加されるとして「移設ではなく新基地建設」と主張し続けてきた。「新基地」という語感が県民の負担軽減ではなく戦争準備を想起させるため、反対運動への共感を得やすいという戦略もあると見られる。
 ただ、県は知事だけでなく行政部局も「新基地」という用語を使っており、県庁内には「辺野古新基地問題対策課」も設置されている。県議会での答弁でも、知事、副知事以外の一般職である部長らが「新基地」という言葉を使い続けており、自民党が「行政職の公務員が、存在しない事業名を使うのはいかがなものか」(島袋大会派長)と疑問を呈していた。
 自民党の意見を受け赤嶺議長は6月と9月、県に文書で正式な事業名を使うよう要請。赤嶺議長は「県が認めている那覇軍港の浦添移設については『浦添新軍港』と言わないのに、辺野古だけ『新基地』と呼ぶのはダブルスタンダードだ」と指摘する。
 5日午前の代表質問で自民党の中川京貴氏は、玉城デニー知事が答弁で「新基地」と発言したことに反発。自民党は一斉に退席し、議会は長時間の休憩に入った。
 県は、答弁の主語を国にするか県にするかで「普天間代替施設建設」「新基地建設」を使い分けて答弁する案を提示。自民党は「県職員は事業の正式名称を使うべきだが、政治家である知事が『新基地』を使うのは認める」と譲歩した。
 だが与党が「新基地建設という言葉の使用に問題はない」と調整作業に介入。自民党関係者らによると、一時、多数決で開会を強行し、自民党議員の代表質問を打ち切る構えを見せた。自民党は「これ以上、空転を長引かせられない」(島袋氏)として同日夜、代表質問の再開に応じた。
 6日の代表質問は正常化したが、県側は依然、玉城知事以外に各部長も答弁で「新基地」という言葉を使い続けている。

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