【視点】離島振興の熱量が低い

 基地負担の軽減は、できることから、一歩でも二歩でも前に進めてほしいというのが県民の願いだ。基地の県内移設では負担軽減にならないという県政の論理のために、どれほど多くの県益が犠牲にされてきたのだろうか。真の県益とは何か、県民自身が問い直す必要がある。
 玉城知事は、政府が有事を見据え、空港・港湾の機能強化を図る「特定利用空港・港湾」(特定重要拠点)の取り組みに対し「県民に強い不安の声がある」と述べた。現時点で特定重要拠点の指定に同意しない考えを示した発言だ。
 空港の滑走路延長や港湾整備は輸送力の拡大・充実につながり、有事や災害の際、住民避難や支援物資搬入の能力をアップさせる。だが、これまでは費用対効果の観点から、離島の空港は、人口や面積に見合った最小限の規模しか整備が認められてこなかった。
 離島住民が新石垣空港や与那国空港が特定重要拠点の指定候補に挙がったことを「千載一遇のチャンス」と受け止めるのは当然だ。
 空港・港湾が特定重要拠点に指定されれば軍事利用の懸念がある、というのが県の言い分だ。だがそれは、既に十分な規模の空港・港湾を抱え、これ以上、施設の機能強化を求める必要性が薄い沖縄本島サイドの論理ではないか。県の姿勢に対し、離島住民から「離島軽視」という声が上がるのも無理はない。
 空港・港湾の整備が国交省主導で行われるなら賛成だが、防衛省主導なら反対という意見もあるが、住民無視の倒錯した論理である。県には方針を転換し、速やかに特定重要拠点の指定に同意するよう求めたい。
 玉城知事は「21世紀の万国津梁」を目指し、地域外交を推進すると表明した。平和を希求する「沖縄のこころ」を開く国内外に発信し、海外の自治体とのの連携や国際機関の誘致などを図るという。
 地域外交の理念には賛同するが、問題なのは対中姿勢である。知事は中国政府に対し、尖閣諸島問題などで直接的な抗議を避け続けている。
 だが、単に沖縄と中国の友好を確認するだけでは外交とは言えない。中国が尖閣諸島への干渉を続け、台湾に侵攻するようなことがあれば、アジアの平和と安定は破たんする。そして中国共産党政権は必ず自滅する。それを中国に直言してこその「外交」である。

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