【視点】港湾スト 県民の理解得られぬ

 米艦船「ラファエル・ペラルタ」の石垣寄港計画を巡り、全日本港湾労働組合(全港湾)が沖縄本島と石垣島で全面ストライキに突入する構えを見せている。ストライキが実行されれば港湾の荷役作業がストップして物流が止まり、県民生活を直撃しそうだ。
 このようなストライキは、県民の理解を得られない。米艦船の石垣寄港計画はまだ不透明だが、寄港に反対する手段として労働争議を使う手法には再考を求めたい。
 港湾管理者の石垣市は、米艦船の吃水(きっすい)が深く、石垣港のクルーズ岸壁は使用困難と通知した。これに対し米側は、石垣島沖合での停泊を検討しているとの一部報道がある。全港湾は、米艦船が沖合に停泊した場合でも、ストを決行する方針を示している。
 全港湾は9月に米海軍の掃海艇が石垣港に寄港した際も、石垣港の港湾労働者を午前中だけ自宅待機にしたが、午後から解除している。この時は、物流に大きな影響は出なかった。
 全港湾が今回通告しているストは石垣港だけでなく、那覇港、那覇新港ふ頭、浦添ふ頭で予定されている。実行に移されれば、県内の各港湾で貨物船がからの荷物の積み下ろしが難しくなる。最悪の場合、県内全域で物流が止まる事態も予想される。
 そこまでして米艦船の寄港に反対する理由は何か。全港湾は、武器を搭載した艦船が寄港すれば、港湾労働者の安全が確保できないと主張する。
 だが過去に、米艦船が寄港した全国の港湾で労働者が危険にさらされたという事例は報告されていない。全港湾のスト計画は、労働争議に絡めた反基地闘争という様相が濃い。
 米軍や自衛隊の港湾利用に対し、県民の間で賛否が分かれているのは事実だ。
 中国の軍事活動が台湾や沖縄の周辺まで迫る中、米艦船の石垣寄港は、日米同盟に基づいて沖縄を守る意思をアピールするものだ。一方で港湾が軍事利用されると、有事には島が標的になると懸念する県民もいる。
 誰もが、それぞれの立場で自説を主張すればよい。だが米艦船の寄港に反対する勢力が、寄港を阻止するためにライフラインを止め、県民生活を巻き添えにしようとするのは、米軍だけではなく県民をも脅迫する行為に等しい。労働者の争議権は尊重されなければならないが、特に寄港を容認する県民にとって、こうしたやり方は権利の乱用にしか見えないだろう。
 米艦船が石垣島に立ち寄り、ストが実施され、現実に物流が止まれば、非難のほこ先は大多数が米軍にではなく、労働組合に向かうはずだ。今後の組合運動にも、大きなマイナスイメージをもたらす。
 特に離島住民は、台風で貨物船が長期間、入港できず、食料品をはじめとする生活必需品が品薄になる体験を何度も繰り返してきた。物流の停滞に対しては本土や沖縄本島の住民以上に強い不安を抱いている。
 そうした雰囲気の中、物流の停滞をあえて人為的に引き起こすストは「離島苦」の感覚に対し、あまりにも鈍感と指摘せざるを得ない。
 開会中の石垣市議会では米艦船の寄港に反対する決議案が提案されたが、賛成少数で否決された。その際、全港湾のスト計画が話題になり、与野党から賛否の声が上がった。離島住民は、今後の推移に強い関心を抱いている。

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