モノにあふれた生活を、ふと見直すことがある。相次ぐ台風の接近。貨物船の入港が滞り、八重山の島々の一部店舗では、食品などの商品棚が空っぽになった。ほしい商品はいつ届くのか。募る苛立ちの中で、私たちの「豊かな生活」が、実は島外からの物資輸送に支えられていたことに気づく。それは離島県である沖縄、さらには島国である日本の縮図でもある◆中国が一方的に支配を進める南シナ海の問題も、日本にとって他人事ではない。重要なシーレーンを遮断されれば、今まで享受してきた豊かさがもろくも崩れてしまう。そして尖閣諸島は、まさに日本自身の問題だ。中国が支配権を奪取すれば、東シナ海の制海権にも影響が出かねない。とりわけ八重山周辺海域は「中国の海」と化すだろう◆知事選では普天間飛行場の辺野古移設問題が「最大の争点」とされる一方、同じ沖縄の出来事でありながら、尖閣諸島問題は顧みられなかった。前回知事選でも同じような状況であり「辺野古は票になるが、尖閣は票にならない」のが沖縄の冷厳な現実のようである◆玉城デニー知事は「翁長雄志前知事の遺志を継ぐ。辺野古阻止に全身全霊を傾ける」と言明した。八重山住民としては、尖閣問題に対する前県政の無関心は引き継いでほしくない。