【視点】物価高 負担軽減策見極めを

 衆院選では、物価高騰に伴う県民の経済負担をいかに軽減するかが争点の一つだ。沖縄4区でも候補者4人が街頭演説や八重山・宮古メディアのインタビューで、それぞれ持論を展開している。
 物価高騰は急激な円安、ウクライナ侵攻に伴う輸入品やエネルギー価格の上昇が要因とされる。食費、光熱水費などの値上がりは、所得が低い世帯ほど家計に深刻な影響を及ぼす。
 離島の離島である八重山ではもともとコスト高で、本土や本島に比べ物価高の傾向があり、住民はいっそうしわ寄せを受けている。政府は全国で一般家庭の電気料軽減策などを進めているが、より抜本的な経済対策や生活支援を求める声が強い。
 立憲民主新人、金城徹氏は最低賃金の引き上げ、全世帯の6割へのインフレ手当支給などを掲げた。
 維新新人、山川泰博氏は教育の無償化、減税などを進めるとし、財源には政治家の「身を切る改革」を挙げた。
 自民前職、西銘恒三郎氏は物価高騰を上回る賃上げに向け、企業の投資環境づくりと税制改革を表明した。
 山川仁氏は消費税廃止と住民への給付金支給を訴え、れいわは国債を財源に充てる方針を示している。
 安倍晋三政権で始まった「アベノミクス」は積極的な財政出動、大胆な金融緩和、民間投資を喚起する成長戦略を掲げた。岸田文雄政権も基本的にはその路線を引き継いだ。
 安倍政権は史上最長政権となり、アベノミクスも国民の一定の支持を獲得したが、現時点で十分な成果が得られたとは言えない。
 積極財政の継続に対しては、財政悪化を懸念する観点から野党の間でも温度差がある。
 金融緩和は極端な低金利を生み、長期的な円安基調を招いており、現在の物価高騰の一因となった。
 成長戦略の実行は進まず、日本経済は少子高齢化を背景にした長期停滞から抜け出せていない。
 石破茂首相は安倍元首相とは距離を置いていると見られるが、現時点ではアベノミクスの見直しに踏み込んでいない。アベノミクスの理念そのものは評価できるが、何が経済成長の阻害要因になっているのかを改めて総括すべき時だ。各党の経済政策を見極めたい。
 将来的な社会保障費や防衛費の引き上げに向けた増税を各党がどう考えるかも明確にすべきだ。焦点は消費増税や防衛増税の可否である。
 選挙戦で増税を明言する政党は現時点ではないが、安易な増税は中間層や低所得者層の家計に大きな打撃を与え、日本の将来にとって致命傷になりかねない。政権党は、増税は最後の手段であることを肝に銘じて経済政策に取り組むべきだ。
 一方、減税をアピールする政党は単に人気取りでアピールをするのではなく、責任を持って財源を明確化しなくてはならない。打ち出の小槌で国民を救えるような幻想を振りまくのは危険である。

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