米事務所の事業費全額削除 自民修正案、予算委で可決 28日結論、知事対応焦点

予算特別委で自民党の予算修正案に挙手して賛成する野党・中立(左側)=25日午後、県議会

 沖縄県議会の予算特別委員会(又吉清義委員長)は25日、2025年度一般会計当初予算案を採決し、米国ワシントン駐在事務所の活動事業費約3900万円を全額削除する野党・自民党の修正案を自民、公明、維新の賛成多数で可決した。修正案は28日、最終本会議でも可決の見通し。この場合、玉城デニー知事が知事権限の再議権で修正案を白紙化し、原案の成立を図るかが焦点になる。

 予算特別委では、自民党の仲村家治県議が一般会計当初予算に計上された駐在事務所の活動事業費を全額削除し、予備費に組み入れる修正案を提出。「現状のままでは事務所を継続することは法的に無理。与党も違法な予算執行を認めることに後ろめたい気持ではないか」と提案理由を説明した。
 最終本会議で修正案が可決された場合、玉城知事が再議権を行使すると、修正案の成立には出席議員の3分の2以上の賛成による再可決が必要になる。県議会の勢力は48議席中、自民22、公明4で、自公だけでは3分の2に届かない。
 修正案が不成立の場合、改めて原案が諮られる。しかし原案は過半数の賛成がなければ再び否決される。このケースでは、当初予算が成立しないまま新年度を迎える恐れがあるため、玉城知事が緊急的に、政策的経費を除く暫定予算を組む可能性も想定されている。
 ただ自民党会派長の座波一県議は25日の記者会見で「暫定予算は我々も望むところではない。調査検証委員会や百条委員会で出てきたことを尊重するのなら、知事は再議すべきではないと思っている」と玉城知事をけん制。仮に知事が再議権を行使した場合でも、中立や与党の賛同を得て修正案を再可決したい考えを示した。
 与党の山内末子県議は、予算原案が否決され、玉城知事が再議権を行使する場合について「ワシントン事務所は沖縄の基地問題を米国政府に働き掛ける上でとても重要。知事が考える方向性を与党として応援していきたい」と強調。「(駐在事務所を)リニューアルするためにも予算は必要」と訴えた。
 予算特別委で与党は、上原快佐県議が駐在事務所の活動事業費を約1300万円減額する修正案を提出。減額した活動事業費は、新たな体制でスタートするまでの間、必要最低限の「7カ月分」の経費としたが、賛成少数で否決された。
 一般会計当初予算案を巡っては、自民党の宮里洋史氏が借換債を増額するため予算の一部を組み替える修正案を提出し、自公の賛成多数で可決された。中立の維新は執行部の予算提案権を侵害する可能性があるとして退席した。

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