ドローンの農薬散布拡大へ 専門業者が石垣初参入

ドローンを操縦して農地への農薬散布を行う瑞慶山代表取締役=16日、石垣市宮良

 ドローンで上空から農薬を散布する作業を請け負うAgriTech(アグリテック)株式会社(瑞慶山翔吾代表取締役、本社浦添市)が今月から、専門業者として石垣市に初参入した。ドローンによる農薬散布は農家の負担軽減や作業の効率化につながり、今後、八重山でも拡大が見込まれる。瑞慶山代表取締役(31)は「サトウキビをハーベスターで刈り取るように、今後は、農薬散布はドローンを使うことが普通というフェーズ(局面)になる。農家の認知度を上げていきたい」と期待する。

 同社は2022年に瑞慶山氏が創業し、現在は名護市、豊見城市、宜野座村、伊平屋村などの本島各地区のほか、鹿児島県の奄美大島群区でも、農家からドローンによる農薬散布を請け負っている。
 石垣市では14日から8日間、川平、宮良、名蔵などの各地区にある計約100㌶の農地で、ドローンによる農薬散布を進めている。
 石垣市の農地では無人ヘリや自己所有ドローンによる農薬散布の事例があるが、農家が農薬散布をドローンの委託専門業者に依頼した事例はなかったという。
 農薬散布は、農家が防護服を着て農地に入り、ホースなどを使って行うのが一般的。
 同社によると、約300坪(約0・1㌶)の農地の場合、地上での農薬散布だと約30分を要する。だがドローンを使うと作業時間を約40秒に短縮できる。
 農家が農地に直接立ち入らないため、散布された農薬を浴びる健康被害リスクも軽減できる。
 ドローンによる農薬散布には通常、機材を操縦するオペレーターと、離れた地点で機材を監視するナビゲーターの2人が必要。オペレーターが持つリモコンの画面ではGPSで機材の位置が表示されるほか、機材によるが前後に設置されたカメラの映像も見ることができる。
 オペレーターはナビゲーターから無線で連絡を受け、機材の位置を微調整する。農薬の散布量は作物によって異なる。料金は県全域で300坪の散布を2千円~3千円で請け負っている。
 16日には、宮良でドローンによる農薬散布が行われた。自らもドローンによる農薬散布に取り組む農業の男性(69)と妻(50)が「プロの作業を見たい」と見学に訪れた。
 妻は「ドローンを使うと、これまでとは比べ物にならないほど作業時間が短縮され、圧倒的に楽になる。一回経験したら、これまでのやり方に戻るのは考えられない」と話した。
 同社は社員5人で、瑞慶山代表取締役を含め3人のオペレーターがいる。農薬散布の依頼は、ある程度まとまった面積の農地で請け負っている。
 瑞慶山代表取締役は「他道府県に比べ、ドローンによる農薬散布は沖縄ではまだ普及していない」とした上で「今後は、県内でも農家の組合や有志などがドローンを所有し、農薬散布することが一般的になるだろう。私たちもサポートしたい」と話した。

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