20日投開票された参院選沖縄選挙区では、参政党が躍進し「台風の目」になった。参政党公認の和田知久(65)は落選したものの12万6743票を獲得。得票率は19・5%に達した。自公以外の候補者の得票が10万票を超えるのは初めてで「第三極」としての存在感を発揮。「オール沖縄」勢力の高良沙哉(46)、自公の奥間亮(38)の当落にも重大な影響を及ぼした。
まだ開票結果が明らかになっていない20日夜、沖縄市の選対事務所で報道陣の取材に応じた和田は、落選の結果にも「そう簡単に勝てるはずはない」と冷静。むしろ「(得票数は)当初の目標を超えるという感触はある」と言葉に満足感をにじませた。
今選挙で党県連は8万5千票を目標に掲げた。外国人優遇の廃止を訴える「日本人ファースト」などの政策は主に保守層にアピールするため、沖縄での支持伸長には懐疑的な見方もあった。
だが実際には、党や候補者の予想をはるかに上回る「波」が沖縄にも到来した。
参政党は比例でも81473票を獲得。得票率は12・87%で「野党第1党」になり、全国的な参政党ブームが沖縄にも波及していることを裏付けた。
メディアの批判も「追い風」 和田氏、連鎖反応的に知名度向上
▽リアクション
参政党は結党当初、メディアで「泡沫扱い」に近く、選挙区に候補者を立てても、新聞やテレビで十分に主張が紹介されないことも多かった。
しかし神谷宗幣代表の巧みな街頭演説がSNSを中心に拡散され、強力な発信力を発揮。全国的に支持率が急伸し、所属する国会議員の数や得票率で政党要件を満たした。
沖縄のメディアも「オール沖縄」勢力、自公と同等の第三勢力として参政党の主張を扱うようになり、連鎖反応的に和田の知名度も急上昇した。
和田は「有権者のリアクションがめちゃくちゃ良かった。今回はマスコミの取り扱いが公平で、ありがたかった」と選挙戦を振り返る。
消費減税、国民負担率の引き下げ、子どもへの1人10万円の給付金などの政策を掲げた。「特に小さなお子さんを持つお母さんの反応が大きかった」と強調した。
「日本人ファースト」の主張は県紙などの主要メディアから「排外主義」と批判を受けた。和田は「差別的というのは誤解。それぞれの国が自国を大切にして、全体が大調和というのが参政党だ」と一蹴する。
沖縄戦を巡る神谷代表の発言も沖縄のメディアで叩かれたが「向かい風もあれば追い風もあった。話題になったので、参政党の主張がはっきりして良かった」と意に介さない。
▽那覇市議選でも
10万票超の得票は主に自民党支持者と無党派層から得た可能性が高いが、党県連関係者は「自民党とかオール沖縄を意識しているのではなく『日本人ファースト』を訴えたところ、いろいろなところから全体的に票が入った」と総括する。
参院選と同日に投開票された那覇市議選でも、和田の妻で、参政党から初挑戦した和田圭子(65)がトップ当選。参政党の「風」が本物であることを証明した。
圭子は「参政党に勢いがあった」と勝因を語り「参政党は教育を大事にしている。子どもたちを立派に育てるための環境づくりに頑張りたい」と意気込んだ。(敬称略、仲新城誠)(続く)