19日告示、24日投開票の与那国町長選で、八重山青年会議所(長山家康理事長)主催による予定候補者の公開討論会が3日夜、町内の久部良多目的集会施設で開かれた。現職の糸数健一氏(72)、新人で革新系町議の田里千代基氏(67)、新人で保守系町議の上地常夫氏(61)が町の活性化策などをテーマに論戦した。与那国町長選で八重山JCが討論会を開催するのは初めてで、約100人が来場した。
予定候補者同士が質問をぶつけ合うクロストークで上地氏は、港湾整備の重要性を指摘し、比川新港(仮称)について、田里氏の考えを問うた。田里氏は「なぜ自然を壊して造るのか。祖納港を使って台湾の立法院長が来島した事もある」と反論。祖納港整備の必要性を訴えた。
糸数氏は田里氏が町役場職員時代から進める台湾との交流政策をただした。田里氏は「チャーター便を運航し実績を増やす。与那国町も(姉妹都市の)花蓮市も同時に計画を進める」とビジョンを示した。
田里氏は伝統工芸館の建て替えなどを質問。上地氏は「総務課長の時に計画があり、図面も完成したが予算が取れなかった」とした上で「(当選すれば)予算を獲得する」と自信を見せた。
上地氏は糸数氏に観光振興や第一次産業の活性化策をただした。糸数氏は閉鎖中のアイランドホテルが営業を再開する可能性などを挙げ「さらなるホテル誘致も目指す」と強調。定置網漁・陸上養殖の可否や新しい漁業資源の確保を調査するとした。
田里氏は糸数氏が過去に、与那国町民について「国境の島守」と発言したことを追及。糸数氏は「この島を守るのは自衛隊だけではない。我々町民も防人(さきもり)という気概を持つべき」と訴えた。田里氏は「政治家の最大の使命は戦争をさせず、住民の命を守ることだ」と反論した。
上地氏は人口減少、産業衰退、医療問題について田里氏に具体策を質問。田里氏は2005年に町議会で決議された「自立・自治宣言」に沿った振興策を挙げ「国境の島に住み続けるため、新たな制度が必要」と特区指定を訴えた。