台湾航路開設で対立 「経済の起爆剤」/「合理性ない」 争点①石垣市長選

台湾基隆―石垣定期フェリー航路に対する2候補の政策

 台湾基隆―石垣定期フェリー航路開設は、新たに設立された株式会社「商船やいま」(大濱達也社長)が今秋の就航を目指して準備を進めている。前職、中山義隆氏が打ち出した事業で、船舶購入費30億円のうち約9・3億円を国と市が支援する計画。市の負担分は1・9億円で、財源はふるさと納税を充てる。

 ▽島の暮らし変える
 「石垣の経済、島の暮らし方を大きく変える起爆剤になる。10年、20年にわたって市の将来を支える大きなインフラ整備だ」
 中山氏は、新航路開設の意義をこう説明する。
 「台湾からさまざまな資材を輸入できれば、物価高で苦しんでいる離島住民の生活を救える。本土から商品を購入して高い運賃を払っているが、台湾からなら低コストで輸入でき、そのぶん物価は下がる」
 石垣市から台湾への特産品出荷にも期待する。
 「石垣から石垣牛をはじめさまざまな特産品を出荷できる。畜産業の発展、増えた牛の糞尿を活用した堆肥の大量生産、サトウキビの生産量増、製糖工場の建設推進、無農薬・オーガニックの野菜や果樹生産もできる。島の農業・経済が循環するシステムができる」
 石垣市と台湾の結びつきが強まるのは、安全保障上も有利だとする。
 「台湾と石垣の結びつきを強めることで、中国が台湾に手を出しづらい状況になる。経済交流で台湾有事に対する抑止力を高める」

 ▽補助認めない
 前市議の新人、砥板芳行氏の見解は、中山氏と真っ向から対立する。
 「公共性も採算性も経済的な合理性も全く見出せない」
 新航路の必要性そのものを疑問視する。
 「石垣と台湾を結ぶ人流は航空路線が確立され、物流・貨物も週に一回、琉球海運や南西海運が行っている。新たに税金を投入してまでやる事業とは到底思えない。ましてや今回取得する船は船齢も30年近い。非常に老朽化しており、修繕に今後、多額の資金が必要になるだろう」
 事業主体は市ではなく「商船やいま」だ。砥板氏は「民間ベースなら事業を進めていい」と話すが「行政の補助金は一切認められない」とクギを刺す。
 市は定期フェリーの接岸場所としてクルーズ岸壁を想定しているが、砥板氏はクルーズ船の発着に影響が出るとして使用させない構えだ。
 他の既存岸壁についても、定期フェリーが使用することで荷役作業の混雑や危険性が増すと指摘。定期フェリーが就航した場合は、新港地区で新たな岸壁を整備するべきとの考えを示す。「整備費用は商船やいまに拠出してもらう」と市民の負担がない形を要望した。

 17日投開票の石垣市長選で、中山氏と砥板氏の発言などから争点を検証する。(続く)

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