尖閣列島戦時遭難事件を題材にしたノンフィクション「尖閣1945」の映画撮影が今月から石垣市内で始まる。4日、市役所ではエキストラ出演者を対象にした説明会が行われ、五十嵐匠監督が参加者と面談した。市が予想した以上に参加者が殺到。五十嵐氏は「300人近くの石垣の方が集まってくれた」と喜んだ。
終戦直前に起こった遭難事件では、多くの女性や子どもが被害にあい、餓死者も出した。石垣島から台湾に向かっていた2隻の疎開船を米軍機が攻撃し、1隻が沈没を免れて魚釣島に漂着。助けを待ったが食糧も尽きたため、男性たちがサバニを作り、救援を呼ぶために石垣島に戻った。
撮影は15日から市内各所で行われる。市は市民にボランティアでエキストラ出演を事前に呼びかけており、予想よりも多くの来場者が集まった。4日に2回予定した説明会を急きょ3回に増やした。
来場者は氏名や年齢、身長、靴のサイズなどを記入。スタッフは順番に映画撮影に必要な資料として顔写真を撮影した。
五十嵐監督はあいさつで「この映画は、石垣島で全て撮影する。石垣市民の協力がなければ成立しない」と明言。「ヒューマンヒストリーだ。真水がある魚釣島で一カ月以上暮らし生還した人たちの意思を映画で描き、全国に届けたい」と意気込んだ。
説明会に参加した後盛和子さん(81)=大川=は「映画を成功させたい。尖閣の歴史を多くの人が知ってほしい」と期待した。