「イデオロギーが生活阻害」 〝特定利用〟慎重姿勢の県に反発 石垣市議会が意見書提出

砂川部長(右から4番目)に意見書を渡す我喜屋議長ら=20日午前、県庁

 石垣市議会(我喜屋隆次議長)の要請団が20日、県庁を訪れ、石垣空港の「特定利用空港」指定に向け、早期に同意を決断するよう求める意見書を提出した。県側は慎重姿勢を崩さず、市議からは「イデオロギーで我々の生活が阻害されているという認識しかない」(長山家康氏)と反発の声が上がった。

 「特定利用空港」は国が指定し、自衛隊、海上保安庁が空港を円滑に利用するための枠組み。空港の軍事利用を懸念する県政与党の声を受け、玉城デニー知事は指定に同意していない。

 意見書は市議会9月定例会で可決された。石垣空港の「特定利用空港」指定によって滑走路延伸、誘導路・エプロン整備、アクセス道路の改善などの事業が進むと期待し、玉城知事に対し指定への速やかな同意を求めた。

 市議会によると、県に「特定利用空港」指定への同意を求める要請は3回目、石垣空港の整備を求める要請は5回目。

 土木建築部の砂川勇二部長は「特定利用指定にかかわらず、昨年度から(整備の需要を)調査しており、需要に応じてエプロン拡張など必要な整備は検討している」と回答。エプロン拡張の事業化に向け、国土交通省との調整に入ったと報告した。

 滑走路延長に関し、我喜屋議長は現状では人や物の積載制限があると指摘したが、県側は「今の段階で問題があるとは聞いていない」と述べた。

 意見書を提案した長山氏は「空港機能の強化を進めることが八重山、ひいては県の経済発展に資する。先島住民としては、さらに安全保障の脅威を感じており、台湾有事を含めた環境の変化に敏感になっている」と指摘。国民保護計画の観点からも「特定利用空港」指定の必要性を訴えた。

 砂川部長は「指定されたからと言って整備が飛躍的に進むかというと、そうではない」と説明。
 長山氏が自衛隊、海保による空港使用の円滑化を求めたのに対し「(指定という)枠組みに入らないとだめ、という前提ではなく、現時点でも必要があれば、空港の使用届を出して事前に調整することになっている」と指定への慎重姿勢を崩さなかった。

 知事、副知事が要請に対応しないことについて長山氏は「同意の権限がある知事が毎回会っていただけないのは残念。離島軽視と言わざるを得ない」と批判した。

 要請団は県議会にも意見書を提出し、対応した上原章副議長は「地域の思いなので、議会としても議論を深めていきたい」と応じた。

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