「結論ありきで中身がない」「公平性や中立性を欠く」「国民の理解を得られない」―。米軍普天間飛行場の辺野古移設で、国交相が撤回の効力を一時停止したことを受け、30日、記者団に怒りをぶつけた玉城デニー知事◆翁長雄志前知事の失敗から何も学んでいないのか、と残念な気持ちになる。国を「敵」に見立てて痛罵すれば基地反対派は喜ぶが、冷めた目で見る本土の人たちとの距離感は、ますます広がる。国も県も「普天間の危険除去」というゴールは同じはずなのに◆言葉の応酬が与野党の攻防なら話は分かるが、国と地方の関係は本来、そんなものではないはずだ◆先日の県議会でも、新知事の「デニー色」はほとんど感じられなかった。県政トップの顔が変わっただけで、玉城県政とは結局、翁長県政の2期目であることが鮮明になっている。これで普天間問題の進展が望めるのか、はなはだ心もとない◆承認撤回をめぐる攻防の場は、いずれ法廷に移るようだ。この光景には見覚えがある。翁長県政時代の「承認取り消し」をめぐる法廷闘争だ。普通、同じルートをたどれば、同じ結果に行き着く。同じことの繰り返しを「時間の無駄」と呼ぶのではないか。辺野古の是非が争点となった知事選直後の、辺野古の是非を問う県民投票のように。