12月に入って、屋良部半島の海岸に近い山林の暗がりに、リュウキュウツチトリモチの華麗な赤い姿が見え始めている=写真。
被子植物で地上に出る部分が8㌢ほどの多年生の寄生植物。キノコではない。クロヨナ、オオバギ、リュウキュウガキなどの根茎に寄生する。最初はピンクの花穂は受粉すると黒く変色する。写真は、変色して黒くなりつつある花穂が見える。花穂の下部に白い小さな雄花が見える。黒い糸状は雄花の茎。雌花もあるが外部からは見えない。ピンクのものは、これから伸びていく。11月から1月まで見られる。
トリモチをつくる原料になるのでこの名がついている。茎にパラノフォリンなる成分があり、これがトリモチをつくる成分となる。1971年、トリモチによる鳥類の捕獲は禁じられているので、今はつくる人はいない。
森の暗がりに、突如ピンクのこの植物を見つけると、自然界の魔訶不思議な世界を感じる。樹木に寄生して養分を頂きつつ、冬場にニョキニョキ現れ、ピンク色で自己主張ともなると、なんとも厚かましいところ。だが寄生される側にしてみれば、「可愛いやつら」と、ご愛嬌(あいきょう)ぐらいに受け取っているかも。