辺野古沿岸での土砂投入に続き、米政府に対する辺野古移設工事を一時中断するよう求める署名活動など、辺野古移設問題をめぐっては絶えず、さまざまな動きがある。こうした中でクローズアップされたのは、この問題が、普天間飛行場の危険性除去のための事業としてではなく「辺野古沿岸への新たな米軍基地建設」という一方的なイメージで内外に発信されている事実だ。
普天間飛行場は宜野湾市の中心部に位置すし、市民は日夜、事故の危険性と隣り合わせで苦悩している。同飛行場は、宜野湾市発展の大きな阻害要因でもある。そんな宜野湾市民の思いが「置き去り」にされたまま、辺野古移設問題が語られる。あまりにもいびつだ。
今回の県民投票も、まさにそのような設問になっている。「『辺野古』県民投票の会」は「辺野古沿岸の埋め立ては県知事の権限であり、県民が決めることができる」と説明。埋め立ての賛否のみに特化した設問が、意図的なものであることを明らかにしている。
これは辺野古移設反対派の戦略に沿った設問であり、県民投票自体が反対派の宣伝活動に利用されていると言える。当事者である宜野湾市が県民投票への不参加を表明したのも「苦渋の決断」であるとはいえ、当然だ。
同市だけでなく宮古島市、石垣市などの首長も今後、県民投票を実施するか最終的な決断を迫られている。多くの欠陥が指摘される県民投票を実施しないことには何の問題もない。むしろ将来的な県民の米軍基地負担軽減を考えれば、不参加は賢明な政治的判断である。