改めて整理すると、今回の県民投票で最も懸念されるのは、設問が「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否のみを問い、原点である米軍普天間飛行場の危険除去をあえて切り離している点である。県民の多くは普天間飛行場問題を理解している。しかし県外の人たちの中には、辺野古移設について「政府が美しい辺野古の海を埋め立て、軍事基地の建設を強行している」というイメージを持つ人も多い。
宜野湾市民が普天間飛行場の存在に苦しめられ、早期移設が求められていること、移設先の辺野古にはキャンプ・シュワブという米軍基地が既に存在しており、移設は「辺野古米軍基地の建設」ではないことを明確に理解しないと、反対派が流布するイメージに翻弄されてしまう。今回の県民投票は、事情を知らない人の誤解を増幅させる。
現実に県民投票が反対派の政争の具に利用されていること、県民投票条例の成立過程で、地方自治法で求められている県と市町村との協議が不十分だった可能性、条例で中立性が求められている玉城デニー知事が辺野古移設反対派に肩入れしていることも、問題点として指摘されている。
県民投票は2月24日、全県一斉に実施される可能性が高まった。その結果が普天間飛行場問題の解決に少しでも寄与するのか、非常に疑問だ。既に政府は、県民投票の結果にかかわらず「辺野古が唯一の解決策」として、辺野古移設を着実に推進する方針を示していることも忘れてはならない。