竹富町が新年度予算に、庁舎建設基金から石垣支所建設費として4億円を一般会計予算案に繰り入れた。同基金はこれまで、「本庁舎建設に使うもの」と理解されていた部分もあり、今後、質疑が展開されそうだ。基金を支所建設に充てることは、「あり」か「なし」か―。関係者に聞いた。(玉津盛昭)
■与党は「あり」
「庁舎建設基金を条件整備に使うのはあり」と話すのは、与党の大久研一氏。基金の支所整備費投入に賛成の立場だ。
大久氏は、過去の新庁舎建設あり方検討有識者委員会の提言などを示し、「町民の利便性、住民サービスを維持・向上させるのは絶対条件」と、石垣支所優先の理由を語る。
また、「支所、出張所を造って西表に移転するもの。西表移転には反対していない」とスタンスを説明。続けて「(新庁舎は)50年、100年の大計だ。段階を踏まなくてはならない」と手順の重要性を述べた。
■心情的に「なし」
野党の山盛力氏も「あり」を明言。「基金は本庁舎移転のための基金だと思っているが、支所に使っても条例違反にはならない」と考えを述べた。
ただ、これまでに早期の役場移転を求めてきたこともあり、心情的には「なし」の様子。執行部に対しては、「(本庁舎は)最悪でも支所と同時にやらないといけない」と指摘する。
役場移転を急ぐ理由は、時限立法の緊急防災減災事業債の存在。「申請に間に合うのか。県と意見交換が進んでいないなら、厳しいのではないか」と不安視した。
■対象は「庁舎」
竹富町は、既に2018年の12月議会で立場を表明している。
この時、政策推進課の通事太一郎課長は、庁舎建設基金が設置された経緯を説明。役場移転計画が紆余曲折してきた歴史を紹介した上で、「役場移転に関する諸条件の整備が前提」「あくまでも諸条件整備の基金」と、「あり」の立場で答弁している。
竹富町庁舎建設基金条例は1995年に制定。第1条には「竹富町の庁舎建設資金に充てるため、竹富町庁舎建設基金を設置する」と目的が記されており、本庁舎・石垣支所・出張所などの明記はない。対象は「庁舎」となる。