第7回南山舎やいま文化大賞(南山舎主催)に山口晴幸氏(70)=横浜市在=が選ばれ10日、石垣市立図書館で授賞式と記念講演が開かれた。同氏は「八重山美ら海の叫び 海洋越境廃棄物の脅威―忍び寄るマイクロプラスチック汚染―」と題した研究が評価された。講演では急増する中国製越境ごみや、マイクロプラスチック(微小プラ)の脅威を語った。
同氏は1998年から2013年までの16年間、沖縄県で行った調査をまとめた。延べ調査海岸622海岸、総廃棄物数249万7723個に上る。
このうち、13年の漂着ごみは98年の約8・3倍に増加。中国製ごみは約27・3倍に急増した。山口氏は「中国製ごみは深刻な漂着ごみ汚染の主因」と位置付けた。
また、漂着ごみに蛍光灯、水銀ランプ、注射器などの医療廃棄物が確認されたことも紹介。韓国製廃ポリタンクは年間、県内で千個は確認されるようで、その1、2割は液体も入っている状況で漂着するという。
有害物質を含むプラスチックが海を漂流し、さらに有害物質を吸着した場合、「動植物の生態系汚染リスクを高める。最後は人にリスクを及ぼすと言われている」とまとめた。
山口氏は防衛大学校に34年勤務。学生に土木力学や地質工学などを指導した。
◇ ◇ ◇
[ことば]マイクロプラスチック。5㍉以下に微細化した廃プラスチック片。海生生物の摂食リスクがあり食物連鎖の結果、人が食すると人体への影響も懸念されている。