石垣市織物事業協同組合の八重山上布講習会による最終工程の海晒(さら)しが11日午前10時ごろから、川平の海岸で行われた。3人の受講生と2人の講師、平良佳子組合理事長らが海岸で受講生の製作した3反の布を海に晒した。
同組合では毎年織物講習会を開いているが、同組合では八重山上布の捺染(なっせん)の織物の講習があったときだけ海晒しが行われる。昔ながらに大自然の海水に4時間、浸し続けることが必須だ。
今回、3人の受講生が苧麻(ちょま)の刈り取りから、制作した織物6巻き(8メートルのもの3巻きと12.5メートルのもの3巻き)を晒した。
今回は2012年に行われて以来7年ぶり。この日、平良理事長が見守る中、海水と石灰水を混ぜた上澄みの水で、着尺を浸して発色を促進。そのあと、発色を止め、定着させるため着尺を晒した。
最初実施した海岸の波が強いため、場所を変更しての実施となったが、移動先の波が静かで、じっくりと織物を海に晒すことができ、取り組んだ受講生も仕上がりが待ち遠しい様子。熱心に布の様子を観察していた。
受講生の足立弓子さん(68)はミンサー織12年の経歴を持つが、「ミンサーと上布は全然違う。ついて行けるか不安もあったが修了できた」と講習を振り返り、永野智美(さとみ)さん(48)は初の海晒しに、「一つひとつが大変な工程。一人ではできないし、自然の恵みでできあがるものだと強く感じた」と感慨深げに語った。嵩原綾子さん(39)は「皆様から認めてもらえるような上布を織りたい」と話した。
講師として3人を指導してきた次呂久幸子さんは「原料となる苧麻から自分で糸を作れるようにも指導した。続けてやっていってほしい」と願った。