【提言】新元号「令和」に思う 参議院議員 山田宏

 これは、憶良が後輩の遣唐使たちに贈った歌です(『万葉集』巻第五)。当時の先進国の唐にいっても、卑屈になることはない。日本には日本の素晴らしさがある。中国は革命の歴史で皇帝が幾度も殺され王朝が覆されているが、日本の天皇は代々続いている。非常に安定し、仲がよく尊い国である。また日本では、和歌の伝統が示しているように、さまざまな言葉のなかに魂がこもっている。日本人は言霊が世の中を動かすことを信じて、美しい言葉を使ってきたではないか。憶良はそう歌い上げたのです。
 この「天皇(皇室)の存在」と「日本語」。これこそが、日本の「芯」であり「根っこ」ではないでしょうか。

■世界の先頭に立つ「和」の精神
 「令和」には「和」という文字が入っていますが、この「和」の思想こそ、日本人の魂の根源にあるものです。それは、聖徳太子の十七条憲法にある第1条「和を以て貴しとなす」という言葉からもわかります。人と人の調和だけでなく、自然と人の調和も重んじてきました。仏教など新しい宗教や思想が入ってきても、日本古来の神道との習合が進められてきました。明治以降も、近代文明と伝統とを、外国人が驚くようなかたちでみごとに融和させました。
 このような日本の「和」の精神は、これからの時代、これからの世界において、極めて重要な意味を持ってくるでしょう。東南アジアやインドなどで世論調査をすると、「信頼できる国」として、常に圧倒的に高い支持を集めるのが日本です。中国やアメリカの信頼度は低く、その上その両国が対決する時代を迎えています。
 その米中対決という時代の先に、国と国、人と人、宗教と宗教、自然と人間、最先端技術と伝統が調和するような日本の「和」の精神に、必ず世界の関心と注目が集まってくるはずです。その時わが国は、その伝統精神を高らかに掲げ、世界の新しい平和と繁栄の受け皿を先頭に立ってつくっていく気概を持たなくてはなりません。日本という国の「芯」と日本人の「和」という伝統精神を顧み、新しい時代に向けた「気」を養う時こそ、「令和」の時代なのだと思います。

(参議院議員 山田宏)

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