【視点】知事の中国傾斜 必要性あるのか

 海外からの投資受け入れは、基本的には歓迎すべきことだ。ただ、中国は日本とは価値観も社会体制も異なる。中国企業による土地などの買収が進めば、沖縄が中国の経済的影響下に入るリスクもある。米軍や自衛隊の基地があり、日本の安全保障の要衝である沖縄が、そのような状態になるのは好ましいことではない。
 尖閣諸島周辺では中国公船による領海侵入が常態化し、沖縄に脅威を与えている。玉城知事が翁長知事同様、明確に抗議しない姿勢を続ければ、中国側に甘く見られるだけだろう。
 日本政府は一帯一路に対し、基本的に慎重な姿勢を崩していない。国内の中で、沖縄だけが前のめりになって中国への協力を表明することに意義を感じにくい。
 玉城知事は米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡って、安倍政権との対立を深めている。中国政府と交流することより、日本政府との関係を改善することのほうが先ではないか。
 知事は沖縄都市モノレールの3両編成化に向け、政府に財政支援を要請したばかりだ。米軍基地の整理縮小はもちろん、子どもの貧困などの諸問題でも、沖縄が政府と協働すべきことは多い。沖縄振興特別措置法の期限切れが2021年度末に迫っており、新たな沖縄振興計画の策定に向け、政府とのすり合わせも急務だ。安倍政権へのあてつけのように、中国ばかり見ている場合ではあるまい。
 早期の辺野古移設に協力し、普天間飛行場の全面返還を実現させれば、跡地利用による巨大な経済効果や、インフラ整備の夢が広がる。一帯一路への協力などよりはるかにリアリティがあり、県民生活の向上が期待できる話だ。知事は政策の優先順位を誤っているのではないか。

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