熊本豪雨を受け、川辺川ダムの建設中止による治水対策の是非が問われている。蒲島知事が7割進んでいた建設を白紙撤回していたからだ◆「ダムによらない治水を12年間でできなかった」と悔やみ、「決断は県民の意向」と述べた。反ダムの民意を貫く発言を翌日には修正し、「新しいダムのあり方も考える」とした◆ここで玉城知事が浮かぶ。「民意」を掲げて基地移設に反対しているが、最大の利点となる国防策にすら代替案を示せていない。「法的拘束力のない」民意にばかり気をとられ、大所高所から判断できないのならば、全てを投票で決めるのと変わらない◆川辺川の件は結果論ではある。しかし、氾濫の危険性、ダムの経済的・時間的有効性は当初から言われていた。現在に生きる我々は、結果に学び、今に生かすしかできない。取り返しの付かない有事に襲われた時、玉城知事はどんなコメントを残すのだろう◆「県民の意向だった」と責任転嫁するために、まさか反対の立場を表明しているのではあるまい。「基地によらない治安ができなかった」と悔やんでも後の祭り。新しい基地のあり方を追求できればまだ救いもあるが、自治権を他国に奪われている可能性さえあるのである。いずれにせよ、玉城知事を選んだ県民が最後の責任を負うことになる。 (S)