石垣市川平に所在する18世紀から19世紀の墓跡「川平大兼久古墓群(かびらおおかねくこぼぐん)」の調査状況や出土品のパネル展示が28日から、石垣市の川平公民館(高嶺善伸館長)で始まった。展示は3カ月ほど継続される。入場無料。
古墓群は1991年に確認され、2018年に発掘調査が実施。遺物や遺構の検出・取り上げ、写真や実測図による現場の記録が行われた。
調査では、琉球石灰岩の隆起によってできた崖の辺縁にあるくぼみを石積で囲い込んだ岩陰墓が7基と、琉球王府時代に船が出る際、航海安全の祈願をする場所とされている、約10メートル四方を方形に石積された拝所が確認されている。墓からは人骨や器類、貴金属製のかんざし、古銭などが出土している。
今後は、市教育委員会文化財課(下地傑課長)が洗浄や接合など、人工遺物と人骨の整理と分析を行い、20年度にかけ報告書にまとめる予定。当時の葬法、被葬者の性別や特徴、生活の様相が解明されることが期待されている。
高嶺館長は「川平村の歴史に記されていない部分がこのことによって明らかになるかもしれない」と期待し、「ほかにも集落周辺に風葬跡が散在しているらしいので、公民館として文化財課には調査を口頭で申し入れている」と強調した。
見学に来ていた60代女性=川平=は「興味があるので、部落の歴史がもっと知りたい。専門家の人の解説があればもっとよかった」と話した。