韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任して10日で2年となった。「平和」「正義」といった耳あたりのいい言葉を掲げて南北融和や歴史問題清算などの政策を進めているものの、周辺国の視線は冷ややかで、日韓関係に至っては過去最悪とも評される。独りよがりな文政権の姿勢は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設を巡って政府と激しく対立する玉城デニー県政と二重写しになってしまう。
文大統領は2018年4月の南北首脳会談で、金正恩朝鮮労働党委員長とともに「朝鮮半島にもはや戦争はなく、新たな平和の時代が開かれた」などとする板門店宣言に署名した。その姿は当時、日本でも平和の象徴のようにもてはやされたが、1年後の現在、米朝協議は膠着(こうちゃく)し、北朝鮮はミサイル発射と見られる挑発行為を再開させた。安易に「平和」を語る指導者の見通しの甘さが浮き彫りになっている。
沖縄の翁長雄志前県政、玉城県政も、辺野古移設反対の理由として「平和」「人権」「民主主義」を挙げている。人類の普遍的価値を守るため闘うとなれば、そこに妥協の余地は存在しない。政府との対立が泥沼化したのも当然だ。