石垣島平得大俣地区への陸上自衛隊配備計画を巡り、沖縄防衛局は9日、駐屯地建設予定地周辺で国の特別天然記念物カンムリワシの営巣活動が確認された、と発表した。一時的に現場での作業を控えたが、沖縄本島在の有識者に意見を聴取したところ、工事エリアと営巣場所の距離が離れているため、工事を継続しても支障がないとの助言を受けた。今後はカンムリワシの繁殖に影響のない工法や工程で工事を実施する方針。石垣市もカンムリワシ保護に向け、独自のモニタリング調査を継続する。
沖縄防衛局によると、カンムリワシの営巣は4月24日から26日にかけて行ったモニタリング調査で確認された。つがいと思われるペアのオスが、近づいてきた他のオスを追い払ったり、林の特定の場所に出入りするなどの行動が見られたという。
防衛局は同26日以降、一時的に現場での作業を控え、石垣市にも報告した。
営巣木と工事エリアは約400㍍離れており、5月7日に意見を聴取した有識者からは「工事は継続して支障がない。ただし、大きな機械音が突発的に出るような作業は控えるべき」「抱卵期は非常にデリケートであるため、営巣木の周辺に立ち入ることは避けるべき」などと助言があった。8日以降は大きな騒音を立てない工事を再開しているという。
市も8日、カンムリワシに詳しい野鳥の会会員に意見を聴取。営巣木に近づく調査は避け、距離を置いた地点から観察を継続する方針を確認した。
中山義隆市長は9日、市役所で記者会見し「工事で、カンムリワシに影響が出ないようにしてもらうのは当然。防衛局からはそのつど報告してもらうが、市も観察を継続したい」と述べた。現時点で工事の中止を求める考えはないことも明らかにした。
営巣木の確認については同日、市議を通じ、陸自配備に反対している周辺4公民館にも伝えた。
カンムリワシは4~5月が抱卵期とされる。