西表島の世界自然遺産登録を目指す竹富町は、観光ガイドが島の貴重な自然を保全しながら活動する仕組みづくりに向け、ガイドの登録義務などを定める条例制定を目指している。18日には有識者や関係機関で構成する「町観光案内人条例(仮称)制定検討委員会」(上妻毅委員長、委員6人)の初会合を町役場で開き、条例案の審議をスタートさせた。早ければ9月議会での条例制定を目指すが、今後は登録の要件や、未登録者に対する罰則などをテーマに議論が活発化しそうだ。
町によると、西表島で活動する観光ガイドは約130業者とされる。世界遺産登録に向け、ガイドの質を一定以上に保つことも喫緊の課題になっている。
町がまとめた条例の概要・骨子案によると、条例は観光ガイドが環境や生態系を壊すことなく、保全に貢献しながら事業を継続する仕組みをつくることが目的。西表間の陸域全域と、周辺海域を適用範囲とするが、海域の具体的な範囲は検討していない。
ガイドに登録を義務付け、登録を受けた事業者、ガイドのみが業務をできるようにする方針。登録要件としては、関連法令や条例に関する研修や、救命技術に関する研究を義務付けることを検討している。
登録手続きに不正があった場合や、未登録でガイドを行った場合の刑事処分や行政処分も規定したい意向だが、方向性は今後の議論に委ねられる。
検討委は今後、6月と7月にも開かれ、条例の素案を取りまとめる予定。町はガイドを対象にした説明会も計画している。
初会合では、委員から「政策の決定過程は通常、非公開だ」「審議をオープンにする段階ではない」と指摘する意見が相次ぎ、審議をメディアに非公開とすることを決めた。ただ議事録は公開する方向で調整する。