花卉(き)研究家で八重山蘭同好会会長の前内原用吉さん(75)=白保=が白保のハウスで無菌培養してきたイリオモテランが2月に一斉開花した。例年だと4月頃に開花することから、前内原さんは「地球温暖化の影響を示している」と分析している。同ランの人工培養は13年目。16日から開かれる第45回花と緑のラン展示会に出展する。
沖縄県の絶滅危惧種に指定されているイリオモテランを守ろうと、前内原さんは1994年から保護活動として着生実験を実施。今回の無菌培養のランは2003年から行い、7年目に開花。以後、7年連続で開花しているが、2月の開花は初めてという。
今回、開花したのは20株。ほとんどの株で一斉開花したことから、「温暖化の影響だろう。2カ月近く開花が早まることは、これまでになかった。開花はうれしいが、温暖化を考えると心配だ」と心境を語った。
前内原さんは近年、自生したイリオモテランを確認できていないことから「石垣島のランは、ほぼ絶滅」と推測。「個人での取り組みでは限られてくる。保護を広げていかなければならない。保護して自然に戻すのがベターだ」と提言した。
花と緑のラン展示会(八重山蘭同好会主催)は16日から2日間、石垣市民会館展示ホールで開かれる。2月の展示会にイリオモテランが出展されるのは初めて。