投票率の低さも気になる。辛うじて過半数は超えたものの、昨年9月の知事選(63・24%)、米軍基地の整理縮小を問うた1996年の県民投票(59・53%)と比較しても低さが際立つ。
県は1億3千万円の広報費を投じ、県内大手メディアも連日のように特集を組んで有権者に投票を促したが、それでも54万人もの棄権者を出した。県民の無関心ゆえではなく、意識的に投票をボイコットした層がいたからだろう。
知事選の結果や、辺野古移設に対するメディアのネガティブキャンペーンが激化している現状から、辺野古移設が「反対」多数になることは事前に確実視されていた。移設容認の県民は、そもそも棄権する傾向が強かった。
やらなくても結果が分かっている県民投票に、何の意味があるのか。疑問に感じた5市が当初、不参加を表明していたのは当然のことである。
5市の投票率は軒並み県全体の投票率を下回り、宮古島市のように3割台という市もあった。普天間飛行場を抱える宜野湾市は51・81%と辛うじて過半数を超えたが、移設先である名護市の久辺3区は41・38%にとどまった。
宜野湾市民は普天間飛行場の一日も早い撤去を望んでいるし、辺野古周辺の住民は地域振興と引き換えに、苦渋の選択で移設を容認した経緯がある。県民投票は、いずれの住民の願いにも逆行するものでしかなかった。移設で最も影響を受ける「当事者」の投票率がなぜここまで低迷したのか、しっかりした総括が必要だろう。
自民党からは県民投票の結果について「『反対』は投票者数の7割超だが、投票資格者に占める割合は4割弱に過ぎない」という指摘も出た。こうした主張を、玉城知事は「詭弁だ」と切り捨てた。
選挙は勝ち負けがすべてだ。しかし県民投票は、そもそも法的拘束力がないのだから、県民の意思を数値的に把握することに意義がある。
細かい数字に深く分け入ることで、見えてくる真相もあるはずだ。玉城知事や基地反対派は、そうした努力を放棄しているのではないか。