【視点】領土侵奪される危機が現実化

 南シナ海では、中国公船がベトナム漁船に体当たりしたり、フィリピン漁船に威嚇射撃する事件が発生。漁業者は駆逐され、中国の軍事基地化が進んでいるという。尖閣周辺では海保が奮闘しているとはいえ、徐々に似たような状況になる恐れはないのか。日米同盟がある以上、露骨に乱暴なことはできないが、ゆっくりと時間をかけ、尖閣を南シナ海のような状況にしてしまうのが、中国の意図でもあるだろう。
 70年余の平和に慣れてしまった日本人には、想像し難いことが起こっていると言える。
 日中関係は改善基調にあり、6月の20カ国地域・首脳会合には中国最高指導者の習近平国家主席が来日する。政府としては、尖閣問題でゴタゴタしたくないというのが本音だ。仲間市議が要求している尖閣諸島の字名変更も、いまだに実現しておらず、背景には政府の圧力があるとも言われる。
 中国公船も、今回は日本漁船に体当たりするような暴挙には出なかった。ただ現在の日中関係の改善は、問題の先送りに過ぎないように見える。
 改めて実感されるのは、遠く尖閣海域まで公船を派遣し続ける中国の国力の強大さだ。逆に日本が中国沿岸に巡視船を派遣し、常駐させることなど想像もできない。
 日本がやるべきことは、尖閣諸島で港湾などの施設を整備し、実効支配を強化することだ。現在の国際情勢では難しいのも事実である。しかし、時間は中国に味方している。
 尖閣周辺の中国公船は、大型化や武装化が進んでいる。現状がずるずると続けば、やがて日本の実効支配には穴が空く。尖閣での施設整備は、いずれかのタイミングで、必ずやらなくてはならない。
 経済的にも軍事的にも巨大化した中国に対し、日本一国で立ち向かうことはできない。良し悪しは別にして、今や日本の平和や繁栄は、日米同盟に大きく依存している。米軍基地を抱える最前線である沖縄県民こそ、その是非を改めて考え直す必要があるだろう。

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