【視点】日米同盟に依存する平和と繁栄

 安倍晋三首相とのゴルフ、天皇陛下の晩さん会招待、大相撲優勝力士への大統領杯授与、高級居酒屋での接待―。テレビ映えがするイベントが次々と繰り出されている。国賓として来日したトランプ米大統領を、日本政府が国を挙げて歓待している。ほほえましく感じる人、あるいは眉をひそめる人もあろうが、日本の平和と繁栄は、厳然として日米同盟に依存している。その現実を、まざまざと見せつけられるような光景だ。
 トランプ大統領は27日、拉致被害者家族と2017年以来、2回目の面会を果たした。「拉致問題は常に頭の中にある。この問題が安倍首相にとって最優先であることも知っている」と被害者帰国への支援を約束した。
 日本にとっては心強い言葉だが、聞いていて物悲しくもある。拉致問題の被害者は日本人であり、本来は日本政府が責任を持って、自力で解決しなくてはならない。しかし米国の力を借りなくては、北朝鮮との直接交渉さえままならない。
 北朝鮮が交渉相手として向き合うのは何と言っても米国であり、そして中国だろう。いずれも強大な軍事力と経済力を持つ国だ。国際社会はそうした「力」を背景に動いている。日本は米国と一緒でなければ、核やミサイルで威嚇してくる北朝鮮とも、超大国化した中国とも対峙できない。
 この現実は敗戦後、日本が新憲法を制定し、「平和国家」として歩み出した瞬間から定まっていたと言っていいだろう。日本は現在、精悍な自衛隊を保有し、世界3位の経済規模を誇るが、それでも国力は米国、中国には及びもつかない。不安定な国際情勢下で、日本の平和と繁栄を保証しているのは、まぎれもなく米国だ。

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