【視点】中国の暴力体質 尖閣で歴然と

 米国は、世界の秩序を揺さぶるライバルとして中国に対する警戒心を隠さなくなった。トランプ政権は、中国の急成長は不公正な貿易や、米国から最新技術を窃取した結果だとして、中国製品に関税を上乗せするなど「貿易戦争」に突入。第5世代(5G)移動通信システム構築で中国の最先端企業である通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)排除に乗り出した。
 米国務省のオルタガス報道官は天安門事件を「中国共産党による組織的でおぞましい迫害行為だ。平和的に抗議をしていた人たちが虐殺された」と糾弾した。
 中国は猛反発しており、中国国営テレビのニュース番組は連日、米国の「覇権主義」を非難し、中国経済の強靭(きょうじん)性をアピールしている。21世紀にもなって、13億人の国民が政府に統制されたプロパガンダ報道に甘んじている。信じられない思いだ。
 日本政府は菅義偉官房長官が4日の記者会見で天安門事件を批判したが、米国ほど激しい表現は使わず、習近平指導部に対する一定の配慮を示した。米国とは違い、日本は軍事力でも経済力でも、一国では中国に対抗できない。米中間での立ち位置は微妙だ。
 今月には習国家主席の来日も控え、日中関係は改善基調にあるとされるが、尖閣諸島周辺では中国公船の航行が日を超え、過去最長を更新し続けている。日本に対し、一方では微笑で懐柔を試みながら、一方では力の誇示で脅迫を加えているのだ。そのような中国にどう立ち向かっていくかは、日本が抱える最大の課題である。
 日本としては、中国との激しい言葉の応酬より、米軍普天間飛行場の辺野古移設をはじめとした米軍再編、石垣島への陸上自衛隊配備など、日米同盟や自主防衛強化のため、できることを一つひとつ着実に進める必要がある。
 現在の平和や繁栄を次世代に引き継げるかどうか、沖縄県民も試練の時を迎えている。
 玉城デニー知事は訪中時、中国の経済圏構想「一帯一路」で沖縄を活用するよう要請したり、尖閣諸島周辺で操業する漁民に中国公船を刺激しないよう求めたりした。あまりに疑問の多い言動だ。中国の領土欲の矢面に立たされている沖縄としては、今こそ毅然とした姿勢を示すべきではないか。

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