1年間を振り返る時、多くの人たちにとって評価の基礎となるのは経済ではないか。今年の沖縄は順調に観光客数が伸び、雇用も活発で、経済の拡大基調が続いた。総体的に、まずまずの1年だったかも知れない。
観光客数は1千万人時代に突入し、沖縄本島だけでなく離島の宮古、八重山に至るまで活気がみなぎっている。宮古はさながらバブル期のようだと言うし、八重山を訪れた観光客も、今年は過去最高の140万人台に達する見通しのようだ。
東京、大阪などの大都市圏から空路で来県する国内客が7割を占め、海外客はクルーズ船を利用する台湾、香港、中国客が中核だ。日韓関係悪化の影響で韓国客が急減したものの、沖縄観光の全体から見れば影響はほとんど感じられない。
本島ではモノレールの延長や車両3両化、那覇空港の第2滑走路完成、離島では港湾整備や空港拡張などの動きが続く。観光産業を基軸に、農水産業、サービス業などへ効果を波及させていく沖縄経済のスタイルが確立に向かっている。離島も含め社会基盤の整備が着実に進んでいるのは、復帰後の沖縄振興が正しい道を歩んできたことの証左だろう。
米軍基地問題に関しては、沖縄では経済とは裏腹に閉塞感が強まりつつある。安倍晋三政権と玉城デニー県政の軋轢がさらに強まったためだ。
米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する県の姿勢はみじんも変わららない。ただでさえ長期化する見通しの工事の行方を混沌とさせかねず、県の責任は大きい。
2月の県民投票は辺野古移設反対が7割を占めたが、移設のメリット、デメリットが冷静に議論された中での投票だったとは言い難い。安全保障問題を時の多数決にゆだねる危うさが浮き彫りになっただけではないか。