昨今の知事、学者、メディアが不勉強の発言をするのは不思議ではない。自衛隊には、海兵隊という独立した組織がないため、なおさら一般の理解が進まない。
また、海兵隊は厭世的な組織であるので、活動の中身がわからない。東日本大震災後の救援活動、「トモダチ作戦」は多くの日本人にとって初めて海兵隊の機能、スピード、役割をみた。
そもそも、長年続いていた自公連立政権が日米同盟の重要性、インド太平洋地域を守る海兵隊の役割、海兵隊にとっての普天間飛行場の意義をちゃんと説明してこなかった。そのため、10年前の2009年、「最低でも県外」と訴えた鳩山由紀夫政権が誕生し、安倍晋三首相が述べた「悪夢」が始まった。
当時の連立政権を支えていた玉城氏には、海兵隊の役割などを解説した拙著の『オキナワ論』(新潮新書、2016年)や『だれが沖縄を殺すのか』(PHP、2016年)をお勧めしたい。
メディアも海兵隊の役割を報じない。特に沖縄の二紙が不都合なことを紹介せず、情報操作することを、「メディア・ブラックアウト」と呼ぶが、その結果、県民をはじめ、行政機関や政治家も正しい情報を得られていない。「海兵隊不要論」は、その典型的な事例だと思う。(談)