今選挙では安里氏が、2月の県民投票で反対の民意は出たと認め、移設をあえて推進しない考えを明言したことが大きな特徴だ。ただ続行中の工事について法的瑕疵(かし)はないとの認識を示し、沖縄の厳しい立場を政府に伝えると述べている。
高良氏は辺野古移設だけでなく、宮古、八重山の陸上自衛隊配備計画に対しても、基本政策に反対を明記した。憲法学者としての立場から、自衛隊は違憲の可能性があるとの認識を示し、日米安保条約も「将来的に廃止」と踏み込んだ。
沖縄と切っても切れない安全保障問題に対する両氏の姿勢を、県民がどう判断するかが大きな焦点である。
翁長雄志前知事、玉城デニー知事と二代にわたり、県政と政府の関係が悪化の一途をたどっている。経済に強い安里氏は、2021年度の期限切れが迫る沖縄振興計画の改定作業への悪影響を懸念し、国会議員として政府と県の「橋渡し役を担う」と意気込みを見せる。
高良氏は、辺野古反対を堅持する玉城知事を「国政から支える」と述べ、県政との共闘姿勢を鮮明にしている。国政選挙ではあるが、政府と協調する県政か、対峙する県政かも間接的に問われていると言える。
参院選の争点は多岐にわたり、有権者は経済、外交、福祉など、さまざまな切り口から候補者の政策を吟味する必要がある。多数の離島で構成される沖縄では離島振興も決して忘れてはいけないテーマだ。
安里、高良氏とも母親が石垣島出身者といい、個人的な離島とのかかわりも興味深いし、選挙戦で離島への思いも聞いてみたいところである。