県は29日、海で分解可能なプラスティックの原料になる樹脂を高効率で生産する方法を開発したと発表した。県工業技術センターが、沖縄産の微生物を活用し、生分解性樹脂原料である3―ヒドロキシ酪酸(R3HB)を従来の2倍以上生産することに成功し、5月10日に特許を取得した。技術を応用し、プラスティックの開発を目指すベンチャー企業も県内で発足し、センターと共同で研究を進めている。
R3HBは、海で分解されるプラスティックの原材料として期待されていたが、大量生産が難しく単価が高かった。センターが開発した生産方法で、より安価で大量生産できる可能性が高まった。
センターは、沖縄近海で採取した堆積物からハロモナス菌の新しい菌株を発見。菌株と砂糖を混ぜて培養し、高効率でR3HBを生産する。県内に拠点を持つベンチャー企業「グリーンテクノプラス」と共同で研究を進める。
将来的には、1000分の1以下の価格になる可能性があり、普及が進む生分解性プラスティック「ポリ乳酸」と同程度のコストで生産を目指す。「ポリ乳酸」は海中での分解が難しいため、R3HBに期待がかかる。センターは、5年以内に製品化を目指す。県の補助事業「新産業事業化促進事業」で2250万円の予算支援を受け、研究を進めている。
県商工労働部の嘉数登部長は「深刻な海洋汚染を引き起こす石油由来プラスティックに替わる材料として期待できる」と話し、世界的に取り組みが進む「持続可能な開発目標(SDGs)」にも繋がると期待した。