石垣島にクルーズ船「コスタ・アトランチカ」(8万5000㌧、コスタ・クルーズ)が5日、中国深圳(しんせん)から到着した。直前にクルーズ船「スーパースターアクエリアス」が入港したため、新港地区に接岸できず、沖に停泊。大勢の中国人観光客らがテンダーボートと呼ばれる支援船に乗り換え、上陸した。次々と離島ターミナルに押し寄せ、バスやタクシーで観光地に向かう客であふれた。
クルーズ客は一度に大勢の観光客を迎えることができるメリットがあるが、地域住民の生活に悪影響が出る「オーバーツーリズム」の可能性も指摘される。地元タクシー運転手の一人は「地元民や空港に行く観光客を送迎できず、タクシー不足になる」と懸念した。
別のドライバーは、台湾の観光客について「気前が良く、1時間の正規貸し切り料金でも数時間は乗ってくれる」と語り、売り上げが上がると期待した。
大勢の観光客がターミナルに集まるため、営業許可を受けていない者が自家用車でタクシー営業を行う「白タク」行為も問題視される。あるタクシードライバーは「石垣の人間が『白タク』をしている」と断言。バス会社が「白タク」車両の番号などを特定し、八重山署に通報、署員がターミナルを確認したこともあったが、検挙には至っていない。同署は「(違反)業者や車両の情報がたまれば内偵捜査に移行する」と話し、検挙に全力を挙げる。
タクシー不足問題は、大型バスを使った送迎で解決する可能性もある。タクシードライバーの1人は「(量販店行きの)観光客だけを集めてバスに乗せれば、タクシーは別の利用者を送迎できる」とアイディアを出す。
国は新港地区で港湾整備を進めており、完成後はクルーズ船が2隻同時に接岸可能になる。