石垣市の障害者や高齢者が利用する福祉避難所兼ふれあい交流施設「結(ゆ)い心(くくる)センター」がほぼ完成し、入口近くの道路を通るたび「バリアフリーが徹底した施設だな」と感じる。歩道と歩道の間の段差がきれいに埋められていて、車いすでもスムーズに出入りできそうだ◆対照的に、島内の多くの歩道を見るたび、うんざりした気分になる。数㍍ごとに通路が途切れ、そのたびに大きな段差。車道はきれいに整備されているのに、隣の歩道がデコボコ道なのも珍しくない。車いすや自転車は、おっかなびっくり進むことになる◆こうした歩道の整備当時は、バリアフリーの概念がほとんどなかったのだろう。経年劣化もだいぶ進行しているはずだ。雑草や街路樹の繁茂で通行が困難になっている歩道もよく見かける。行政の「車道優先思想」のようなものを感じるのは、うがち過ぎだろうか◆復帰後、離島の隅々に至るまでインフラ整備が進んだように見える。道路の車線は増え、ネットワークが拡大し、移動はずいぶん便利になったからだ。しかし、弱者への配慮はまだまだ遅れているのではないか◆ボロボロになった現在の歩道を、バリアフリーの設計に基づいた優しい歩道へと造り替える。これも残された課題だ。