県立八重山病院(篠﨑裕子院長)は27日夕、伊原間での巡回診療が9月11日で終了することに伴う説明会を伊原間公民館(前上里徹館長)で開いた。
篠﨑院長は巡回診療終了の理由として▽巡回診療の後継者不在▽同診療所の患者数の減少▽八重山病院の患者数の増加―などを挙げ、「新八重山病院としては地域の中核病院として強化すべく、少しずつ集約していきたい」と説明した。
巡回診療担当医で同院地域医療科の今村昌幹医師は今後の対応として、「現在診療所に通っている人は、八重山病院希望者は私が担当するし、別の病院に行く場合には紹介状を書き、行先で迷うことのないように対応する」と説明。「地域の健康を守ることに関しては、2週に1回は保健師が来ているはずなので、保健師と病院との連携が取れていければ」と話した。
在宅医療に関しては八重山病院に加え、かりゆし病院や徳洲会病院も行なっていると説明し、後継者不足については総合診療科について触れ、「地域の人とのつながりを大事にできる研修地として、若手にとって最良の場となるだろう」と期待した。
前上里館長は「長い間、地域医療のためにありがとう」と感謝し、「今後も北部、西部の医療にスポットを当ててほしい」と訴えた。
住民からは「採算がとれないからと言って閉鎖するのは、へき地の人間からは理解できない」「病院や市は過疎化を推進している感もある。市役所からも担当が来て、説明をするのが本当では」と疑問の声が上がった。
篠﨑院長は「本来(日常生活に密着した保健医療を提供する)一次医療は市の管轄。今回の説明会への出席を依頼したが受け入れてくれなかった。もうちょっと歩み寄ってほしい」と訴えた。
今村医師の資料によると、伊原間診療所は1961年2月7日に伊原間公衆衛生看護婦駐在所に間借りして開設され、70年10月23日に現在の診療所が新築された。85年は49回の巡回診療で1388人と過去最大数を記録。2016年は50回の循環診療で239人にまで減少していた。